お屠蘇のすすめ

2019年1月9日

みなさま、お屠蘇の準備はもう済みましたでしょうか?

お屠蘇って、聞いたことはあるけど準備って何するの?と思われた方も多いかもしれません。

我が家でも、じつは昨年の暮れに初めて、オリジナルのお屠蘇散にてお屠蘇を仕込みました。
 → 昨年の記事 お屠蘇づくり

昨年の記事に書いたように、鍼灸学校に入るまでは 「お屠蘇」という名前は聞いたことはあっても、 お正月に飲むお酒ぐらいにしかよく知らなかったのですが、じつは漢方薬だったのです。

屠蘇散の一般的な中身は、概ね白朮・桔梗・山椒・防風・肉桂・大黄で、ようは漢方の風邪薬なんですね。

昔の漢方は皇室や一部の金持ちの”ためだけ”の当時の最新の医学でした。
皇室で、風邪や流行病の予防を願って一年の最初に屠蘇散を飲む習慣が有り、それが庶民に広まったのではないかと言われているようです。

グリーンサロン鍼灸院では、昨年に引き続き、
今年もオリジナルのお屠蘇散を作ってみました。

昨年のブレンドとほとんど同じですが、今年の中身はこんな感じです。

  • 陳皮(チンピ) : 干したみかんの皮。風邪の予防、咳や痰を鎮める、健胃作用。
  • 生姜 : 風邪・インフルエンザ予防、関節痛、抗酸化作用
  • シナモン : 消化促進、風邪の予防、精神安定。
  • クミンシード : 消化促進、口臭止め、健胃剤など。
  • アニスシード : 健胃、消化促進、腸内に溜まったガスを出し、解毒作用。
  • クローブ : 抗酸化作用、抗ウィルス、抗菌、血糖安定、歯などの鎮痛剤
  • クコの実 : 滋養強壮、高血圧症予防、利尿作用。
  • カルダモン : 整調・健胃・口臭予防、悪酔い予防。
  • フェンネル : 胃腸機能の調整、消化促進、腸内に溜まったガスを出す、発汗・利尿・視力回復。

これらを混ぜ合わせているだけで、とってもよい香りがして、それだけでも癒されます。

今年グリーンサロン鍼灸院にご縁のあったかたがたには、先日、御送りさせていただきましたので、どうぞ楽しみにお待ちください。

お屠蘇散が手元にない方は、この時期は本みりんを買うと、お屠蘇散がおまけでついてきます。私も昨年初めて知ったのですが(^_^;)

ちゃんと、お屠蘇の作り方も飲み方も丁寧に書いてありました。

お屠蘇はお正月に無病長寿を願って飲むのが一般的ですが、

年末年始は何かと予定が詰まっている方も多いかもしれませんから、そういう場合は、 本格的に2019年度がはじまる、立春に合わせて、お屠蘇を飲むのもよいですね。

冬至が過ぎ、少しずつ陽が増えてくるとはいっても、実際には1月は一年で一番冷え込む時期ですし、まだ二十四節気の暦上も、まだ冬です。
2000年前の古典『黄帝内経・素問・四季調神大論』 によれば、冬はとにかく過度な活動は避け、内側を充実させることが大切で、降り積もる雪の下で、新しい生命がじっと春を待っているように、我々人間も、活動したい気持ちをぐっとこらえ、気力や体力を温存し、内側のエネルギーを充実させるようにするのが良いと書かれています。

そして、この時期にしっかり溜め込んだものを、春になったら外側に現していくのです。

身体も、2月の立春頃を境に、冬の間縮こまっていた頭蓋骨や骨盤もしだに緩みはじめ、活動しやすい身体へと変化していきます。

ここから、一気に5月の連休頃に向けて、身体もとても動かしやすい時期ですから、この流れにのり冬の間にしっかり溜めた新しいアイディアを行動に移していくのもとても良いのです。また、立春から五月の連休頃まで、この時期は古傷が治りやすい時期でもあります。その時期に合わせて集中してはり灸の治療を受けるのも、とてもおすすめです。

少し話がそれましたが、ようはもうすぐお正月で、新しい年にはなりますが、身体はまだ冬モードになっていますから、正月休みだからといって、あまり過度な活動で発散しすぎないようにしておきましょう。

少しのんびり過ごして、自分の中でしっかり作戦を練り、そして2月の立春のころに合わせて、お屠蘇を飲み、新たな心持ちでスタートするのもよいと思います。

日本も明治時代までは自然歴がベースとして使われていたそうなので、太陽暦じたいが、まだまだ新しいものなのですね。

二十四節気は、私も鍼灸の学校に行くようになってから意識するようになったのですが、四季折々の季節の移り変わりを、とても身近に感じられるようになりました。

その暦の変化により、この時期にかかりやすい病気とかもきちんと鍼灸の古典に書かれているのですが、

本当に書いてあるまんまの、症状の方が、その時期になると多く治療にいらしたりするので、

やはり、人間も自然の一部なんだと、毎度ながら感じます。

ですので、少しずつ旧暦や二十四節気を意識して、その時期の行事なども取り入れながら、日々の養生も楽しみながらやって頂ければと思っています。

お屠蘇は、お屠蘇散をお酒や本みりんに漬け込んで作りますが、本みりんも、アルコールなので、アルコールが苦手な方は、そのままスープや鍋の出汁のように使っても良いですね。とても身体が温まりますよ!

ぜひ、新しい年のホリスティック養生の初めの一歩として、「お屠蘇」もご活用くださいね。