日本の伝統発酵食品「ミキ」をアーユルヴェーダで科学する

2019年4月10日

皆さま、「ミキ」ってご存知ですか?

「ミキ」は、奄美大島に伝わる発酵食品で、
お粥とすりおろしたサツマイモを混ぜ合わせて仕込みます。

ミキの名前の語源は、「お神酒(おみき)」で、神事祭事の際に島の霊力のある女性の神職「ノロ」が祈りを込めて作っていたものだとか。

カタカムナによると
「ミ」= 実、実相 見える世界
「キ」= 氣、エネルギー 見えないもの

という意味になるらしく、
見えるものと見えないものを繋ぐものが、「ミキ」

なんだそう。

先日ミキづくりの体験ワークショップに参加してきたのですが、

とても奥深い世界で、いま、この「ミキ」なるものに
かなり心を奪われています(^^;)

お米を研ぐところから、
いやその前にお米にお水を注ぐところから、
とても丁寧に、丁寧に仕込んでいって、
こんなに丁寧にお米を扱ったことないなーと、
そこからして、新しい世界!

そんなふうに丁寧に洗って、かき混ぜながらお粥にしていったら、お粥が炊けた段階で、すでにとっても美味しかったです😋




そして、おかゆが炊けたら、適温まで(45度くらい)、右回しでぐるぐるかき混ぜながら冷まし、そこに生のサツマイモの擦りおろしをいれます。


この段階では、おかゆはけっこう重たい感じで、力を入れて掻き混ぜないといけない感じなのですが、

これが、しばらく掻き混ぜていると、そのうち混ぜている手元が、ふっと軽くなる瞬間が訪れます。これが出来上がりの一つの合図。



お粥に生の擦りおろしたサツマイモを入れた瞬間から、発酵が進むのだそうです。

その後、もう少しだけかき混ぜたら、あとは基本放置です。

ときどき発酵具合を確認しながら、発酵が進むのを待ちます。

甘酒とは違って、麹も必要がなく、常温発酵でよいので、温度管理もいらなくて、とても楽ちんです。

温かい時期なら、一晩、寒い時期なら3日間ぐらいで、発酵が進むそうです。

ワークショップに参加した日の夜、帰ってきてさっそく家でも仕込んだのですが、その日はまあまあ気温が高めでしたので、この時期でも一晩で、もうかなり発酵が進んでおり、ちょうど食べごろになっていました。

で、ここまできて

やっと、アーユルヴェーダで「ミキ」を科学してみます。

食品の「質」ということに注目していきます。

この「ミキ」づくりで、おかゆを混ぜ混ぜしながら冷ますとき、繰り返しになりますが、けっこう重たくて、力が要ります。

お粥は、具合の悪い時に消化に負担がかからないように栄養を摂るために食べたり、断食空け、まだ胃腸に負担をかけたくないときに食べたり、赤ちゃんの離乳食にも使われたりしますが、

意外と、重たい質があるのだな。。というのが、今回のワークショップでの、意外な発見でした!

というのも、アーユルヴェーダでは、食材や食事一つ一つに関して、「質」というものを大切にみていきます。

そして、「重い」質を持つものは、基本的に消化に負担がかかるので、食べ過ぎには注意ですし、質の重いものを2品以上一緒に取ることは未消化物(アーマ)ができやすくなってしまうので、避けることが望ましいと言われています。

で、アーユルヴェーダの専門講座でのテキストを見直してみたら、

日本のうるち米は、基本的に重い質を持っているのですね。そしてもち米は穀物の中でも、一番重たい質をもっているとされているのですが、

最近出回っているお米は、品種改良が進んでいて、うるち米にもち米を掛け合わせたような品種が多いので、かなり重い質になっていると思われます。

なので、今、日本では糖尿病予備軍がぐんぐん増えていると言われていますが、もしかしたら、品種改良が進んだ主食のお米に原因があるのではないか?と個人的には思っています。

ま、でも主食のお米じたい、消費量が減っていて、その分パンやパスタ、ラーメンなどの、小麦の消費量が増しているので、いちがいには言えないですがね。

あ、でもちなみに精白小麦も、かなり質が重いです。

質の重い順に、
もち米 精白小麦 うるち米 インディカ米 全粒粉小麦 オーツ麦 トウモロコシ そば 雑穀 ライ麦 大麦

となりますから、
どっちにしろ、現代日本の一般的な食生活は重たい質に偏りがちだといえます。

それで、ミキづくりの時のおかゆの質の話にもどりますが、最初けっこう力が必要なくらい重たい質だったのが、サツマイモを混ぜてしばらくすると、

ふっと軽くなる瞬間がやってくるのです。

これ、まさに「質」が変化したということです。

アーユルヴェーダでは、調理法によっても食材のもつ「質」が変化すると教えていますが、

「かき混ぜる」や「熟成」は、まさしく質を軽くしてくれる調理法なので、

奄美地方に伝わる伝統食「ミキ」は、
長いこと日本の風土に根差し、受け継がれてきていて
その地域の長寿を支える「隠れたベストセラー」と呼ばれるだけあるなと感じました。

現地では、夏の消化力が衰えるときに一番飲まれているそうだし 、病人の回復食ととして用いられたり、授乳中のお母さんが飲んだり、赤ちゃんの離乳食としても用いられるそうです。

栄養満点だけど、ちょっと質の重いお米を、見事に軽くしてくれて、 消化に負担をかけることなく、体内に取り入れて、オージャスに変換しやすくするような、叡智がそこにはあったわけです。

奄美地方は 「長寿の島」と呼ばれるぐらい、90歳を超えてなお元気なお年寄りがたくさんいるそうですが、

その背景に、生命の科学と呼ばれるアーユルヴェーダの叡智とまったく同じ智恵が活かされていることに、とても感動を覚えました。

アーユルヴェーダは、別にインドやスリランカ地方だけのものではないと、いつも講座でもお伝えさせてもらっていますが、

まさしく、自然の叡智に国境はないということを「ミキ」を通して、あらためて再認識できて、なんだかワクワクして仕方がないのです。

ワークショップで持ち帰った「ミキ」を、2日常温で発酵させ、そのあと一晩冷蔵庫に寝かせて、次の朝そのまま食べてみたら、まさしくヨーグルトになっていて!!

少し酸味はあるのですが、とってもとっても優しい味のヨーグルトになっていたのです。少し変わったものを作ると食べてくれない夫も、これは美味しい!!と喜んで食べてくれて!

家族に受け入れられるかどうかも、日々の暮らしの中ではとても重要ですしね。。

しかも、市販のヨーグルトに比べたら、やっぱり「質」がとても軽くて、とても消化にも良さそうです。市販のヨーグルトは質がとても重いので、よっぽど消化力が強く安定している人いがいは、あまりお勧めできないと、アーユルヴェーダ講座では習うので、

それを知っていらい、たしかにヨーグルトを食べると、冷たいし、重たい感じがしていたので、家で食べる機会はめっきり減っていました。

ですが、たまにお料理に使いたいときもあるし、アーユルヴェーダカレーのレシピにヨーグルトが登場することもあるので、

その代用を、この「ミキ」が見事に果たしてくれそうで、期待大なのです!!

つねづね、当たり前の暮らしの中でできる「養生の知恵」を発信して、多くの人にお伝えしたいと思っているし、

自分自身も、毎日の暮らしの中で楽しみながら養生を実践していきたいと思っているのですが、

この「ミキ」というアイテムは、アーユルヴェーダを生活に取り入れるようになってから、好んで食べてきている、ムング豆やハチミツ、ギー、炊き立ての土鍋ご飯、そして調理に陰陽理論を応用した野菜の重ね煮などに加えて、

我が家の食卓や、日々の暮らしをより豊かに彩ってくれそうな気がしています。

「ミキ」のワークショップの告知文の中に

ミキは、その土地の見えない氣を宿すお米を通して見える存在としてこの世にあらわれた「神さまからの贈り物」。見える世界と見えない世界をつなぐものです。自分の内側からの真実の声に気づき、地球(大地)とつながることを助け、本来の自分を取り戻すことができます。


と書かれていたのですが、

まさしく地球という大自然(大地)と
初めから繋がっていたんだということ、

そして、そもそも国境なんかなかったんだということ を

(その土地、土地の、風土の違いによって、そこで発達する文化や生活様式などには様々な違いや多様性が生まれるのは当然だけど)

思い出したような気がしています。

ミキの世界、とても奥深くて、しばらくは目が離せなそうです。。(^^;)

「ミキ」の作り方などは、こちらのサイトに詳しく紹介されていますので、ご興味ある方は、ぜに参考にしてくださいね!

【腸内環境改善】奄美の長寿飲料「ミキ」の作り方・アレンジレシピ

私が参加したワークショップの主催者の方は、 松野薫子さんで
ミキ伝道師第1期生とのこと!!

奄美大島に伝わる“ミキ”をつくろう 
〜見える世界と見えない世界をつなぐ食べ物〜  
KAORUKO KITCHEN主宰 松野薫子(fb.me/kaorukokitchen)


ミキ伝道師第1期修了生

初めての方は、ぜひ奥深さに触れるためにもレクチャーを受けることもおすすめです。

松野さんより

「令和」の時代は「なんとなく。。。」が鍵を握る!?
という記事の中で

「なんとなく。。」という目に見えない世界からのサインを
いかに、目に見える形に表していくのか?
その当たりがこれからの時代の醍醐味になりそう

と書かせてもらいましたが、

アーユルヴェーダや東洋医学は、まさしく見えない世界と見える世界とつなぐことが得意で、それは、人間をパーツごとにわけていって、部分でみるのではなく、はじめから全体性があり、一人の人間として、まるごとの命としてみていくからなのですが、

この「ミキ」は日々の暮らしの中で
見える世界と見えない世界をつないでいく食べ物として、
おおいに役立ってくれそうな気がしています。

ご興味ある方は、ぜひワークショップにも参加してみられるとよいと思います!