繊細な感覚を大切に!

先日、とあるテレビ番組に

天才ピアニスト 辻井伸行 さんのお母様が出演されていて

辻井さんを育てるときのエピソードを、いろいろとお話しされていました。

その中で、とても興味深いお話しがありました。

辻井さんがまだ、歩けないぐらい小さいとき、

お母様が掃除機をかけるときと、洗濯機を回したときだけ、辻井さんが激しく泣いたそうなのです。

それを観察していて、最初は単に寂しいのかと思ったけれど、あまりにもその時だけ激しく泣くので、

この子は、もしかしたら、音に対してとても敏感なのでは!?

と思って、そくざに子供用のピアノを買い与えたそうです。

そうしたら、この作戦が大当たり!

お母さまが、歌う鼻歌を聞いては、どんどんそれを耳コピして、ピアノの音に再現し、

3歳になるころには、すでに30曲ほども、弾けたそうです。

しかも、お母様の歌は、もちろんメインのメロディーだけですが、

それに、辻井さんは、左手の伴奏までつけていました!

さすが、天才ピアニストです!

でも、「辻井」さんだけが、特別ではありません。

私たちには、誰にも五感というものがありますね。

聴覚、触覚、視覚、味覚、嗅覚

この五感の中で、人それぞれ、繊細な感覚を持っている感覚が、生まれながらにしてあります。

我が家の両親は、夫婦で和菓子屋を営んでいましたが、

おそらく父は、味覚と嗅覚に優れていて、母は視覚に優れているタイプです。

父が作る新作の季節の和菓子、母が必ず味見をしていましたが、母は基本甘いもの大好きなので、父の作る和菓子は大好き、たいていはどれも美味しい!との判断。

そして、お店に並ぶのですが、どうも売れない。。。

ふと母は思って、色使いやちょっとしたひと手間を加えて、見た目をより華やかでその季節感が出るようにしてみては?

と、父にアドバイス。その通り父が作ったら、これが大当たり。

とたんに、売れるようになったことが、何度かあったそうです。そして、一度食べてもらえば、味は間違いないので、またリピートして買いに来てくれるようになりました。

体質的に、自分がどの感覚が繊細なのか、正確に知るには、アーユルヴェーダの医師の脈診をしてもらうのがよいですが、

それを知らなくても、父と母のように、人は自然と自分の感覚を発揮させて、日常生活をより潤滑になるようにしていたりしますね。

また、「そういう体質の違いが、生まれながらにしてある」

ということを知っていれば、自分の仕事でも、家庭でも、よりその繊細な感覚をのばしてあげるように、お互い気遣うこともできますね。

うちの夫は、聴覚が繊細と思われます。

聴力としては、かなり衰えてきていて、テレビの音なんかは、私がうるさい!!と思うぐらいの音量でないと聞こえません。

でも、鳥のさえずりとか、エレベーターのモーターの音とか、私にとっては「こういう音聞こえない?」と夫に言われて、よーく耳を澄ましてみて、かろうじて聞こえるような音を、夫は敏感にキャッチして、それを心地よくおもったり、不快に感じたりしています。

結婚して、なんで耳は遠いのに、そういう小さな音には敏感なのか、とても不思議に思っていましたが、アーユルヴェーダを学び、ヴォリュームだけを感じ取る聴力とはまた違って、「聴覚」という感覚に対する「繊細さ」があると知り、とても納得したのでした。

今年のお正月夫の実家でみんなで集まって会食していたとき、昔の話になり、

夫がおっぱいを飲んでいたころ、こんなふうに大勢集まりわいわいしている場では、夫はぜったいにおっぱいを飲まなかったそうです。

みんなと離れて、静かな場所でないと、落ち着いておっぱいが飲めなかったと。あの頃から音に対して敏感で繊細な感覚を持っていたと、夫の両親が話していました。

(夫は、音楽が仕事にはなっていませんが、ずっと趣味でバンド活動をしています)

私は、触覚と味覚と嗅覚が敏感だそうで、「みどりさんの作る料理は味気なくて、物足りないと言われるでしょう?」と、アーユルヴェーダの医師に言われたことがあります。

味覚と嗅覚に敏感なので、薄味でも素材の味を敏感にキャッチできるので、それを美味しいと感じることができます。でもそこに繊細さがあまりない人に食べてもらうと、「物足りない。。」となるのです。

昨年の夏、夫と北海道を旅行して、レンタカーで回ったのですが、

夫はどこまでも続く長い道路や、広くて高い空にひたすら感動していました。「こんな景色は絶対東京では見られない!!」とひたすら写真におさめています。

私は、美味しい空気と、心地よい風を、どちらかというと目をつぶって堪能している感じ、土の香りや花の香り、思わず深呼吸してしまいたくなる、澄んだ空気を、まさに全身で味わっているのです。

もちろん景色を見ていないわけではないのですが、夫とくらべると、本当に私には「視覚」という感覚は薄いんだな感じます(^_^;)

(夫は脈診はうけたことがないですが、おそらく視覚も繊細だと思われます)

なんだか、話が長くなりましたが、

今日お伝えしたかったのは、このように人には感覚の繊細さの違いがあること。その感覚の繊細さの違いによっては、同じものをみたり、聞いたり、体験したりしても、まったく違う経験になっている可能性もあるということ

そして、より繊細な感覚に対しては、とても大切に扱ってあげることが大切だ

ということです。

たとえば、聴覚が繊細な人が、交通量の多い道路のそばに住んだりすると、それだけで体調がくずれてしまったりします。味覚に繊細な人が、似たような味つけの、味の濃い物ばかり食べていると、やっぱり健康を害しやすくなってしまいます。

触覚が繊細な人は、服の素材にこだわったり、化粧品の素材にも注意をはらい、より自然なもの、より純粋なものを身に着けるようにすると、それだけで心穏やかに過ごせるようになったりします。

ぜひとも、ご自分の繊細な感覚を大切にしながら、日常生活、快適にお過ごしくださいね。