体をつくっているのは日常

先日の記事 「身体も草履も使ってこそ!」 で、身体は動くこと、使うことが何より大切だとお伝えさせていただきましたが、

だからと言って、ジムにでも通うとか、いきなりランニングをするとか、何か新しく身体を動かす習慣を取り入れようとするのは、ちょっとお待ちくださいね。

大切なのは、なんといっても日常なのです。
昨日の記事でもご紹介したからだマスターコース(からだクリエイトきらくかん)でも、主宰の奥谷まゆみ先生が、仰ってましたが、

今までたくさんの人の身体を見させてもらってきた中で、この人いい身体してるなーと、思った人は、どういう人だったかというと、

スポーツ選手でもなく、健康に気をつかって、毎日エクササイズに励んでいる人でもなく、なんと坂の上に家がある人なのだそうなのです。毎日買い物に行くにも、通勤するにも、坂道を上がったり下りたりしないとならないので、必然的に身体を使うようになるからなのだそうです。それも、たまにではなく毎日毎日、いやおうなしにです。

そういえば、うちの患者さんでも、エレベーターのない団地の5階に住んでいる方がいるのですが、上の三人のお子さんとは、だいぶ年が離れて生まれたお子さんが、いま、ちょうど2歳。その子をおぶって、先日高尾山に登山に行ったそうなのですが、筋肉痛にすらならなかったと。。。たしかに、その方、定期的にはり灸治療も受けて頂いているのですが、現代人にはとても多い身体に緊張をため込んでいる気配は、いっさいないのです。

追突事故にあって、むち打ち症になってしまったとか、ケガがきっかけで、その後後遺症に悩まされている。。という方も多いとは思うのですが、

同じように追突事故にあってもムむち打ち症になってしまう人とならない人がいるわけで、なってしまう人は、ふだんから体をガチガチに固めてしまっている人なのだそうです。たしかに、赤ちゃんはとても身体が柔らかいので、実際同じ車に乗っていても、お母さんはむち打ちになってしまったけど、赤ちゃんは大丈夫のケースが多いようです。

ですので、アクシデントは一過性のものなので、重要視しないほうがよいそうです。

ま、仮に事故やケガで傷めてしまったとしても、そして、今、その後遺症に悩まされている人がいたとしても、日常での身体の使い方により、いくらでも改善していけるということですから、希望が持てますよね。

実際、きらくかんのマスターコースでご一緒した、60代のご婦人で、腰痛や足の痛みで、歩くのが苦痛と仰っていた方、3か月もしたら、足の形も変わってきていて、上半身の猫背も治ってきていて、歩く時の苦痛も軽減されて、とっても晴れやかなお顔になっておられて、「どんなに整体に通ったりマッサージに通ったりしてもよくならなかったから、本当にうれしい!そして自分で動いて治すということ、そのすごさをほんと痛感している」と仰っていたのが、とても印象的でした。

ずっと昔、何回かお世話になったことがある、野口整体の先生から伺ったお話でも、今でもよく覚えているこんなお話があります。旦那さんを亡くしてから、一人暮らしで身の回りのことは当然自分でやっていた、あるご婦人がいらしたそうです。そして何年かののち、その息子さんが一緒に住もうと言ってくれて、一緒に暮らし始めました。そうしたらお嫁さんが、家事一切やってくれるので、そのご婦人、何もすることがなくなってしまったそうなのです。そうしたら、整体に定期的に通われていたようなのですが、みるみる身体が悪くなってしまったそうなのです。

まさかの、同居の弊害。。。

まさしく、「身体は日常がつくる」ということを物語っていますよね。

そういえば、我が家のそばにあった手焼きせんべいの美味しいお店。そこもうちの両親と同じ世代で、ずいぶん頑張っていたのですが、おせんべいを焼く機械が壊れてしまったのをきに、お店を閉じてしまったのですね。お子さんたちももちろん立派に育って家庭を持っているし、あとは悠々自適でのんびりと。。。というのも、たしかに当然の流れではあると思うのですが、
でも、そこのご主人、少し前から認知症を発症してしまったそうで、奥さんがひと時も家を空けられない状態になってしまっているそうです。

それも、単に歳をとったからというよりは、やはり日常での仕事のハリが失われてしまったことが、大きな要因になっているような気がしてなりません。

少し話がそれましたが、「身体は日常がつくる」ということ、なんとなくご理解できたでしょうか?

昨日お伝えしたように、身体は使ってこそ!なので、なるべく動いたほうがよいのは間違いないのですが、でも急に今まで使ってないところを無理に使おうとすると、痛めてしまうこともあるので、

今日は、簡単なところで、貝原益軒が養生訓に記している、導引をご紹介します。

導引とは、東洋医学の柱の一つ、湯液(いわゆる漢方薬)、鍼灸とならぶもので、運動療法のことです。動く、擦る、揉むといった動作で、  体の代謝=気血の流れをよくする方法です。他人にしてもらうか自分でします。


導引を毎日実行すれば、血行よく、消化を助け、気持ちを和らげる。


朝、起きる前に、両足を伸ばし体の濁りを出す。起きて座り、頭を仰向かせて、両手を組み前方に付きだし上げる。
歯を何度も噛み合わせ、左右の手をもって首筋を交互に押す。
両肩を上げ、首を縮め、目をふさいで急に肩を下げる動作を三度ばかり繰り返す。
それから、顔を両手で何回もなでおろす。目がしらから、目じりに何回もなでる。
鼻を両手の中指で六、七度なでる。
耳たぶを両手で挟んで六、七度なでおろす。両手の中指を両耳に入れて、何回か耳孔をふさいだり開いたりする。
両手を組んで、左へ引くときは頭を右に回し、右へ引くときは左に回す。これを三回。
それから、手の甲で左右の腰の上、胸のあばら骨のあたりを筋交いに10回ほどなで下ろす。
両手で腰を指圧する。
両手で腰の上下を何度もなで下ろす。こうすると、神経のはたらきがよくなる。
両手で、臀部を軽く10回ほど打つ。
腿をなで下ろす。
両手を組んで、膝頭の下を抱え足を前に踏み出すようにし、左右の手を自分の方に引きつける。
両足をもこのように何度も繰り返すがよい。
左右の手をもって両方のふくらはぎの表裏を数回なで下ろす。
片足の五指を片手でにぎり、足の心(足の裏側の土踏まずの中心)を左手で右足の方を右手で左足の方を10回ほどなでる。
両足の親指を強く引きながら、ほかの指をひねる。これを毎日続けるといい。
従者や、子供たちに教えて、ふくらはぎをなでさせたり、足心(足の裏側の土踏まずの中心)をこすらせるのもいい。足の指を引っ張らせるのもいい。
朝晩こうすると、気分が落ち着き足の痛みも治る。長く歩いた後は、足心(足の裏側の土踏まずの中心)をもむのがよい。

養生訓

簡単にいえば、頭からだんだん下へと順に降りてきて、足の先まで
上から下へ、全身をよく撫でたり摩ったすればよいわけです。足指はすこしひっぱってあげるとなおグッド

養生訓に書いてある通り、全部やろうと思うと大変なので、とにかく全身撫でる!それだけでも大丈夫です。

布団から出る前に、全身素肌を触って、温かいところと冷たいところをチェックしておいて、冷たかったところは、起き上がって上から順になでるときに、とくに念入りに撫でたりさすったりしてあげると、なお良いですね。

とっても簡単だけど、朝これをやると、とても気持ちよく起きれます!そうするとその後の朝の支度もいつもよりテンポよくできるようになるので、導引に要した時間も、すぐに取り戻せるはずです。

ぜひ、日常のからだづくり、朝の5分から初めてみてくださいね!